ある生徒さんのお話
先日、レッスン途中に急に息が詰まったような感じになって、歌が途切れ途切れになった生徒さんがいました。
丁度背を向けて歌の録音状態の確認をパソコンでしていた自分が、異変に気付いて振り返ると、
生徒さんは苦しそうに頭を抱えてた。
これはっ!!!!
具合悪くなったんだ!!!!
そう思って身構えたけど、違いました。
泣いてたのです。
何を歌っても抑揚がなく、と言うかやっとメロディを正確に歌えるようになった状態だったので、将来的には表現力も付けてあげたいなと思ってた生徒さん。
カラオケが終わり、しばし放心状態の生徒さんに話しかける。
どうしたんですか?大丈夫?
その人は言いました。
私、やっと解放された。
そう言ってまた泣かれました。今度は声を上げて。
その方がその後語り出した壮絶な半生はここには書けないけど、四半世紀以上、どうにもこうにも心に鍵をかけていたという。
自分でも知らず知らずに。
前回のレッスンで僕の言った一言でそれを意識して、今回のレッスンで歌っているとある風景が急に目の前に現れたそうです。
解放された瞬間だったそうです。
僕はただ、泣いちゃいましょう!
そう言って一緒に泣きました。
その方のお話と、自分が偶然体験した数日前の出来事がリンクしてなんだか自分も泣けてきたのです。
その方にとって、歌を習うことはただそれだけのことではなかったんですね。
それが嬉しくて、その大切なシーンに立ち会えて、とても暖かくて、とても責任ある不思議な気持ちになりました。
ここに書き記しておきたい出来事でした。
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